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【イベントレポート・特別完全版】-Season2- 第11回目リアルイベント(通算第42回目)【野村證券 × Hedera】「Web3が、金融の"信頼"を再設計する」〜"証券からデジタル資産へ"の新時代を、当事者が描く〜

執筆者の写真: 渋谷Web3大学
渋谷Web3大学
2 時間前
読了時間: 31分

2026年7月15日(水)開催

渋谷Web3大学 -Season2- 第11回目リアルイベント(通算第42回目)

【野村證券 × Hedera】「Web3が、金融の"信頼"を再設計する」 〜"証券からデジタル資産

へ"の新時代を、当事者が描く〜


今回のレポートは、いつもと少し違います。

パネルの終盤、学長のhajimexは会場でこう宣言しました。

「今日の話は、全部翻訳してブログでアップしてみましょうかね。それから、準備のやり取りの中には、当日話しきれなかった問いもたくさんあったので──それもブログに上げましょう」


その言葉どおり、本レポートは当日の全セッションに加えて、時間の壁の向こう側に残った論点──登壇者との事前準備セッションで語られながら、当日は語りきれなかった内容──までを収録した特別完全版です。いま、伝統的金融のオンチェーン化という地殻変動を見るうえで、この夜に集まった情報は、社会に共有する価値があると考えるからです。読了までいつもの倍以上かかると思います。どうぞ、じっくりお付き合いください。




なぜ、この夜が特別だったのか

会場は、WeWork 渋谷スクランブルスクエア45階。開場17:00、開演18:00、入場条件は名刺1枚。定員100名・参加承認制、オンライン配信なしの完全リアル開催。そして全セッションが日英通訳付き。


登壇したのは、野村證券/野村ホールディングス デジタルアセット戦略推進部の日髙恵美さ

ん。そして、分散型台帳ネットワーク「Hedera」を支えるHashgraphから、Chief

Partnership OfficerのShyam Nagarajanさん、Senior Director, InvestmentsのJohn Kikkoさ

ん、Head ofAPACのJeffrey Tchuiさん──ニューヨーク、香港・ホーチミンから、経営幹部3名が渋谷に揃いました。


Hederaのガバナンス評議会には、Google、IBM、Dell、そして野村ホールディングスといった世界の大手企業が名を連ね、各社が自らネットワークのノードを運用しています。つまりこの夜は、「証券からデジタル資産へ」という新時代を、外から論評する人ではなく、内側で作っている当事者たちが、同じステージに立った夜でした。野村ホールディングスの正式な承認プロセスを経て実現した、野村證券×Hederaの日本初の特別コラボセミナーです。


告知はPeatixのほか、野村が運営するWeb3メディア「Web3ポケットキャンパス」、Hedera公式イベントページ、両社SNSにも展開。WeWork渋谷スクランブルスクエア39階エントランスのショーケースには開催前の1週間フライヤーが掲出され、入居230社・約6,000名が行き交う導線からも関心が寄せられました。




オープニング ── ハワイと渋谷をつないで

開演のマイクを握るのは、学長のhajimex。毎月欠かさず続けてきたリアルイベントも通算42回目。渋谷Web3大学の現在地──企業のイノベーション担当者や大学院生が集うCreateコース、今年立ち上げたポーランドのMBA/DBAプログラム、そして9月から募集が始まる英国ウルバーハンプトン大学の国際MBA──を紹介しながら、「学位のためのプログラムをやるつもりはない。現実を変えていく活動をする人たちだけを面談して迎えている」と、いつもの熱量で幕を開けました。


そして今回、初の試みがありました。本コラボを実現させた立役者であり、モデレーター兼通訳を務めるグローバルアドバイザーのAyanoさん(株式会社こころまち代表)が、滞在先のハワイからZoomで参加。香港で約20年を過ごした日英バイリンガルの彼女が、太平洋の向こうから渋谷のステージを回すという、渋谷Web3大学らしい夜になりました。

「ハワイに行っちゃってるんだけど、すごくいい話があるんだけど──そんな連絡から、この企画は始まりました」(hajimex)




Keynote 1 | 日髙 恵美さん(野村證券/野村ホールディングス)

野村證券が見る「証券からデジタル資産へ」―日本のトークン化の最前線


▼野村ホールディングス



「皆様、こんにちはなのか、こんばんはなのか──まだ明るいですね」

柔らかな第一声で始まったKeynote 1。日髙さんは野村證券のファイナンス部門で税務・財務を担当したのち、2023年4月からデジタルアセット戦略推進部に参画。海外デジタルアセット子会社Laser Digitalの運営管理と、暗号資産・ステーブルコインを活用した新規事業開発をリードするWeb3グループリーダーです。


テーマは「証券会社が、なぜWeb3なのか」。世界で何が起きているか、日本はどこまで来ているか、そして野村は何を目指しているか──3つの問いに沿って、最前線の風景が語られました。


世界の変化 ── 伝統的金融のオンチェーン化が始まった

日髙さんは、これまでの流れを4つのフェーズで整理します。

フェーズ1は、2008年のビットコイン登場と、2014年のイーサリアム登場。P2Pでの価値移転と、プログラムによる取引ロジックの実装が可能になった時代。フェーズ2は、2018年頃からのDeFiとステーブルコインの登場。分散型で売買・貸借・発行といった金融機能が提供されるようになり、ステーブルコインは圧倒的にドル建てが主流に。


そして現在地であるフェーズ3は、2020年頃から始まった機関投資家の参入とマーケットの拡大。米国での暗号資産ETF登場、トークン化されたMMF(マネー・マーケット・ファンド)のオンチェーン上での登場。さらに2023年頃からは、金融機関同士の取引がチェーン上で実装される「金融インフラの再構築」が始まり、24時間365日稼働や担保・決済の自動化が一部で進み始めています。


なかでも大きく注目したのは、昨年秋のニュースだったと言います。

「ナスダックがトークン化株式を市場で売買できるようSECに届け出を出した。ニューヨーク証券取引所が、トークン化された証券をオンチェーンで、24時間365日取引するプラットフォームを作ると発表した──このあたりは、私たちも大いに注目したニュースでした」


その先のフェーズ4として日髙さんが描くのは、「Everything Onchain × AI」。すべての資産が

トークン化され、AIエージェント同士が取引し、資産運用する世界。「我々はAIエージェントに向かって金融商品を開発していく未来があるのではないか。そういうところを見ています」


日本の現在地 ── 独自進化と、2つのステーブルコイン

日本に目を移すと、まず資産(アセット)サイドでは、セキュリティトークン(ST)市場が独

自の発展を遂げてきました。ブロックチェーン技術を使って発行・管理される有価証券で、

2020年5月施行の改正金商法で定義された比較的新しい枠組み。公募STの発行総額は約3,404億円・85トークンに達しています。ただし──


「株式市場の時価総額は約1,000兆円と言われるので、規模としてはまだ小さい。そして特筆すべきは、9割が不動産だということ。株式や債券は、まだほとんどトークン化されていないんです。それに、証券口座を通じて法定通貨で購入するものなので、資産サイドも決済サイドもすべてオンチェーンかと言われると、そうではない。日本が『独自の』発展を遂げた、というのはそういう意味です」


次に決済(セトルメント)サイド。2025年から2026年にかけて、日本では2つの「日本初」の

ステーブルコインが誕生しました。ひとつは、資金移動業に基づくJPYC。1回あたり100万円の取引上限が設けられており、発行額は約30億円。もうひとつは、この6月24日にSBIグループとStartale Groupが立ち上げた信託型のJPYSC。信託銀行が発行主体で発行上限はなく、現状は外部ウォレットへの移転を行わないクローズドな環境での限定運用で、発行額は約100億円──それぞれに異なる設計を持つ2つのステーブルコインとともに、日本の決済レイヤーが動き始めています。


野村は何を目指すのか ── 金融庁採択のPoCと、Circleとの基本合意

野村自身の取り組みとして、日髙さんは2つを挙げました。

ひとつは、大和証券・3メガバンクとの伝統的資産の取引・権利移転に関する実証実験。金融庁「FinTech実証実験ハブ」の支援案件に採択された(2026年2月)プロジェクトです。国債・上場株・投資信託・社債といった振替証券を対象に、金融機関間の取引をリアルタイムでブロックチェーンに同期させ、将来的には3メガバンクが発行するであろうステーブルコイン基盤と連動させて、証券とステーブルコインの同時決済(DVP)を目指す──「振替法の法的整理も含め、慎重な検討と中長期的な視点が必要なプロジェクトです」


もうひとつが、発表されたばかりのCircleとの基本合意書の締結です。

「フォーカスは、金融取引・資本市場取引をブロックチェーン上で行う『オンチェーン金融』。

オンチェーンでの担保管理、資金移動、為替。そしてもうひとつ、ステーブルコインを国内に流通させる場面で必要となる信託銀行の役割を担っていく──ここは実ビジネスとしての検討領域です」


さらに興味深かったのは、検討の中で「今まで捉えきれなかったニーズ」が見え始めているという話でした。


「例えば、時間帯を区切った取引です。従来の商慣行を前提にしていては、応えられなかったもの。ブロックチェーンとステーブルコインを使えば、そういう商慣行そのものを考え直すことになる。そこがすごく面白いと思って見ています」


「この半年で、潮目が変わった」

まとめとして日髙さんが語ったのは、肌感覚の変化でした。先々週に登壇したIVS京都では、JPYC、Circleとともにステージに立ち、他のセッションを聞いても「すべての取引がオンチェーンになる」という話が、もう普通に語られていた──。


「実は昨年10月に、この渋谷Web3大学に登壇させていただいたとき、『どういう将来像を描いていますか』と聞かれて、私は"Everything Onchain"と答えたんです。でもその時は、ちょっと遠慮しがちに言ったつもりでした。それが今年は、『暗号資産を証券会社が扱うか』『暗号資産ETFを出すか』という議論をもう超えて、『オンチェーン金融、やりますよね』という流れにみんななっている。この半年で、潮目が変わったのを実感しています」


「オンチェーン金融は、新しい金融インフラを再構築するもの。どうせ新しいものを作るな

ら、より良いものを作りたい」


最後は、会場への呼びかけで締めくくられました。「金融機関だけで作れるものではない。こういうアイディアがあるよ、というものがあれば、ぜひ一緒にユースケースを作っていきたい。ぜひお声がけください」──これが、今日一番言いたかったことです、と。




Keynote 2 | Shyam Nagarajanさん(Hashgraph Chief Partnership Officer)

Building a Trusted Digital Economy―信頼されるデジタル経済を築く

▼Hedera

▼Hashgraph



続いてマイクを握ったのは、Hederaを支えるHashgraphのChief Partnership Officer、ShyamNagarajanさん。IBM出身で、ガバナンスとコンプライアンスの領域に深い知見を持つ人物です。講演は英語、Ayanoさんの逐次通訳を挟みながら進みました。


冒頭から、この講演の中心命題が提示されます。

「信頼は、金融インフラに載せる『機能』ではない。インフラの基本アーキテクチャそのものである」


問題 ── インフラは、期待に追いついていない


金融市場は信頼の上に成り立っています。すべての取引・決済・担保は、システムが予測どおりに動き、記録が正確であることを前提にしている。しかしインフラはその期待に追いついていない──決済にはいまだ数日かかり、約定後の照合作業の大半は手作業で、時間もコストもかかる。クロスボーダー送金はコルレス銀行を経由するため高コストで遅く、不透明。そして世界的に、規制当局の要求水準は上がり続けている。


「問われているのは、もはや近代化するかどうかではありません。誰を信頼して、ともに進めるかです」


機会 ── 市場は、すでに動いている

数字が並びます。オンチェーン化されたトークン化資産はすでに340億ドル超。2030年には16兆ドル規模への成長が予測され、機関投資家の86%がすでに何らかのデジタル資産エクスポージャーを持つ。トークン化資産のTVL(Total Value Locked)は2023年から25倍に成長。そして日本市場も、この流れの中で存在感を高めている──。


Hederaの信頼は、どう作られているか

ShyamさんはHederaを「規制産業のためにゼロから設計された、デジタル経済の信頼レイヤー」と位置づけ、その信頼の構造を解説しました。


匿名性より、説明責任を。 問題が起きたとき、誰が責任を負うのか。多くの分散型ネットワークはこの問いに答えられませんが、Hederaのガバナンスはそれを明確にしています。

Google、IBM、野村、Standard Bankなど世界の主要組織30社超で構成される評議会が、単

にネットワークを後援するのではなく、自らノードを運用し、コンセンサスに参加し、自社の評判をかけて責任を負っている。全メンバーが平等な議決権を持ち、Hedera自身を含むどの単一主体も支配できない。これは主張ではなく、構造です。


設計としての公平性。 誰でもトランザクションを送信でき、ホワイトリストも承認も不要。手数料は米ドル建てで固定され、ガス代の変動もフロントランニングもMEVもない。トランザクションは到着順に公平に処理され、誰も列に割り込めない。コードベースはLinux FoundationDecentralized Trustのもとでオープンソース化され、誰でも監査できる。


8年の実運用。 「私の言葉を信じないでください」とShyamさんは笑いながら、公開ネットワークモニターで誰でも確認できる数字を挙げました。メインネット累計トランザクションは715億件超──エンタープライズ向けDLTネットワークとして最多。最大登録TPSは8,497件。970万超のアカウント。2019年のオープンアクセス開始以来、大きなセキュリティインシデントなしの実運用。これらは projections(予測)ではなく、実績です。


いま動いている実事例

金融サービスでの本番事例が、続けて紹介されました。

Aberdeen × Archax × Lloyds(英国):伝統的なFX担保管理は移転が遅く、決済遅延と運用

非効率が資本の機動性を奪ってきました。この案件では、資産運用会社AberdeenのMMFファンド持分と英国債をトークン化し、FCA規制下のArchaxがHedera上で発行・移転・保全、Lloyds銀行が実行するFX取引の担保として利用。新しい法律も特例もなしに、既存の規制枠組みの中でトークン化資産が機能することを証明した、画期的な第一号案件です。取引終了後すぐに担保を回収し、次の取引に再利用できる──担保の「リアルタイムの機動性」が、兆ドル規模の担保市場を変え得ることを示しました。


新韓銀行(韓国)× SCB TechX(タイ)× 台湾大手金融機関:韓国ウォン・新台湾ドル・タイ

バーツ間のクロスボーダー送金を、Stablecoin Studioを使ってリアルタイム決済・為替連携で実現するパイロット。数日かかっていた決済が数秒に。EVM互換のため、どのEVM系ステーブルコイン発行体も参加可能な枠組みです。「今後はJPYCやJPYSCのような日本のステーブルコインにも広げていきたい」


Project Acacia(オーストラリア):豪州準備銀行(中央銀行)とDigital Finance CRCの共同イニシアチブ。Hedera評議会メンバーでもあるAustralian Payments Plusが参加し、Hederaパブリックネットワークと、プライベート版であるHashSphereの間でのデジタル通貨の移動を検証。豪ドルステーブルコイン(AUDD)がHedera上で発行され、ホールセール決済の複数

ユースケースに採用されました。規制上のコントロールを保ちながら、広いエコシステムとの相互運用性を犠牲にしない──この夜の会場にいた多くの金融機関が必要とする答えが、ここにあります。


このほか、AccentureとEQTY Labによる公共セクターAIガバナンスの検証モジュール、米

FedNowのサービスプロバイダーでもあるDroppのマイクロペイメントなど、「金融」の枠を超えた広がりも紹介されました。


Why Here, Why Now ── なぜ日本で、なぜ今か

「金融インフラにおける構造的な優位は、受け継ぐものではなく、築くものです。SWIFTや清算ネットワーク、ISO 20022を形作った機関は、早く動いたからこそ、数十年にわたる優位を手にした。トークン化金融インフラの標準は、まだ書かれている途中です。支配的なプレイヤーはまだいない。日本でも金融庁と対話を重ねており、パイロットの話も始まっています」

そして、この講演でもっとも引用されるであろう一文で、Shyamさんは締めくくりました。


「先に動く者がレールを敷く。他の全員は、そのレールの上を走ることになる」

今後の戦略領域は3つ。機関投資家規模のトークン化を支えるAsset Tokenization Studio。AI

エージェントが自律的に金融取引を実行する時代に向けたAI StudioとAgent Kit。そして、ブ

リッジなしでプライベート網とパブリック網、他のパブリックチェーンを暗号学的につなぐクロスレジャー・プロトコル(CLPR)──「流動性がひとつのネットワークに集約されるとは考えていません。あらゆるネットワークと資産が相互運用する未来。Hederaはその結合組織になります」




Panel Discussion | 野村證券 × Hedera―「証券からデジタル資産へ」の新時代を、ともに描く

登壇:日髙 恵美さん × Shyam Nagarajanさん × John Kikkoさん × Jeffrey Tchuiさん モデレー

ター:hajimex ×(ハワイから)Ayanoさん



パネルに入る前、hajimexがJohnさんに素朴な質問を投げました。「これって、Wiseがオンチェーン化されるようなものですか?国際送金って銀行だと何日もかかるのが、Wiseなら数時間。それがオンチェーンになったら──」


Johnさんは即答します。「まさに。もう数時間ではなく、数秒ですね。それが現実になります」


会場が沸いたところで、45分のパネルが始まりました。通訳時間を織り込んで通常の30分から拡大した、この日のメインディッシュです。


最初のユースケースは、どこから始まるのか

Ayanoさんからの最初の問いは、日髙さんへ。「金融システムを再構築したい、という話がありました。証券会社の観点で、オンチェーンのユースケースはどこから始めますか?」

「まずは金融機関同士から検討したいと思っています。為替、そしてレポ取引──トークン化されたJGB(日本国債)と、USDCに限らず日本のステーブルコインとのレポ取引。そこから広げていけないかなと。ただ、最終的にはEverything Onchainだと思っているので、皆さんがそれぞれの場所でユースケースを広げて、それがオンチェーン上でつながればいい、と思っています」


オンチェーン化の2つのパターン ── John Kikkoさんの整理

続いてインフラ側の視点として、Johnさんへ。ニューヨーク在住、ウォール街の複数の銀行で15年超──実は野村證券にも在籍歴があり、直前はFidelity Investmentsのデジタルアセット事業にいた、伝統金融とWeb3の両方を知る人物です。「日本語はカタコトなので、チャンポンになります」と笑わせてから、核心部分は英語で語りました。

「いま起きていることには、2つのパターンがあります。ひとつは、レガシーシステム上の証券をトークンで表現し、決済だけをオンチェーンで行う方法──いわばデジタル・ツインです。ただしレポート、監査、コンプライアンスのためにレガシーシステムと接続し続ける必要がある。そしていま市場は、2つ目のパターンに移行しつつあります。証券を最初からネイティブにオンチェーンで発行する方法です。そのためには市場構造そのものが変わる必要がある。米国なら証券代行(transfer agent)がオンチェーンに載り、報告はブロックチェーンから直接規制当局に引かれる。そのツール群を、我々はいままさに作っています。市場参加者全員が標準に合意することが必要です」


100年企業にとって、これは延長か、新市場か

Ayanoさんが日髙さんに切り返します。「野村さんは100年続いた企業。デジタルアセットは既存ビジネスの延長ですか?それとも──」


「2つの側面で考えています。戦術としても2つです」と日髙さん。


「まず、既存のお客様に暗号資産関連の商品を安心・安全に届けること。暗号資産が金商法の枠組みに入っていく今、既存の金融商品の中のワン・オブ・アセットクラスとして組み込んでいくのは、我々の使命だと思います。そしてそれだけにとどまらず、もうひとつが、ブロックチェーンというインフラを使って、資本効率や資本市場全体の拡張という意味で、新しいことをやること。ステーブルコインを含めて。この2つの両輪で、常に動いています」


香港とベトナム、2つの現場から ── Jeffrey Tchuiさんの視点

APAC統括のJeffさんは、ホーチミンと香港という対照的な2拠点を行き来しています。


「私は2020〜21年からこのエコシステムにいて、Hederaの進化をずっと見てきました。ベトナムでの仕事は、初期段階の資本市場インフラをHederaでレガシーを飛び越えて(leapfrog)作ること。香港での仕事は、成熟した資本市場インフラを近代化することです。実は私自身、2020年に評議会メンバー企業とHyperledger Fabricベースのトークン化プラットフォームを作ったことがあります。日本の金融インフラでもよく使われる技術ですが──正直、スケールしないんです。だからこそ問いは、『いまある最良の技術を、日本のような市場で、正しい目的にどう使うか』。Hashgraphの技術で日本のインフラを近代化する。それが私の取り組んでいるテーマです」


GENIUS法後のアメリカで、いま起きていること

「では、グローバルな視点で──各国の受け入れ状況はどうですか?」というAyanoさんの問いに、Johnさんは「日本語で挑戦します」と切り出し、ワシントンとウォール街の空気を生々しく伝えました。


「アメリカでは、GENIUS法というステーブルコインの法律が通った時点で、メガバンク──大手金融機関がもうラッシュなんです。ステーブルコインやトークン化デポジットを発行しようという動きがすごい。なぜかというと、フィンテックやRobinhoodのような会社が、ものすごいスピードで既存の金融機関のビジネスに侵食してきている。ディスラプションのリスクが高すぎて、じっとしていられないんです」


「いまワシントンDCでは、CLARITY法──マーケットストラクチャーの法律が議論されています。面白いのは、銀行側は『ちょっとゆっくり行きましょう、2〜3年あればキャッチアップできるので』と言っていて、クリプト業界側は『いやいや、早く規制を明確にしよう』と急かしている構図です。そしてアメリカがヨーイドンでステーブルコインを始めると、世界はじっとしていられない。『負けられない』と、世界中が思っています」


その上で、金融機関が求めるインフラ要件についても踏み込みます。

「担保を1日に数回動かすだけなら、いまのHyperledger系でも十分です。でもこれからは、リアルタイムの担保交換の時代。マーケットプライスは常に変動しているので、カウンターパーティリスクをゼロに近づけるには、担保がリアルタイムに動かないとダメなんです。我々のプライベートネットワークは100万TPS以上出ますし、手数料はゼロ。パブリックは米ドル固定手数料。そしてプライベートとパブリック、プライベート同士、パブリック同士をつなぐ相互運用技術を、ブリッジなしで実現しました。クリプト業界ではブリッジ関連のハッキングリスクが大きな問題でしたから、機関投資家がどうすれば安心して使えるかを何年も考え抜いた結果です。いま、ニューヨークで大手機関投資家といろいろな話をしている状態です」


日本の慎重さは、変わりつつある

金融庁とのPoCについて水を向けられた日髙さんは、「取り組み自体は先ほどお話しした通りで、詳細はまた改めて」と丁寧にかわしつつ、日本の「姿勢」の変化について、忘れられない個人的な体験を語りました。


「去年の夏、プライベートの夏休みでニューヨークに行ったんです。ちょうどイーサリアムのカンファレンスがニューヨークで初開催されるタイミングで、自腹を切って参加しました。かつてのアメリカは、SECの委員長が『イーサリアムは証券だ』と言って、伝統金融の人がイーサリアムの話をすることすらなかった。なのにその会場では、既存金融機関の人たちが『イーサリアムを金融インフラとして見ています』と力強く語っていた。ああ、アメリカは変わるな、とその時すごく思ったんです」


「日本は慎重だと言われてきましたが、変わりつつあると思います。米国で圧倒的なスピードでオンチェーン化が進んでいるという危機感を、金融庁の方々も、政治の側も感じているからこその、いまの動きなのではないかと見ています」




会場からの質問1:製造業でも使えるのか ── データ証明とタイムスタンプ

ここからは会場との対話へ。最初の質問者は製造業の方。「8年ほど前、IBMとMaerskの国際

物流のプロジェクトを研究していました。製造業でのデータ完全性やタイムスタンプ、承認記録にHederaを使っている事例はありますか?」


Jeffさんが即答します。「Shyamのスライドにあった715億トランザクションという数字──実はその大きな部分を占めるのが、Avery Dennison社のプロジェクトです。皆さんの服についているタグ、NFCチップ、RFID──例えばユニクロの服のタグです。その衣服の製造証明が、実はオンチェーンに記録されています。衣服の来歴証明から始まり、素材のリサイクルや廃棄に基づくカーボンクレジットなど、ESG・サステナビリティ領域への展開も進んでいます」


Johnさんが金の例を重ねます。「日本の大手商社もトークン化ゴールドをやっていますが、この技術で『問題を解決する』ことを考えてみてください。アフリカや中央アジアの金鉱山では、採掘から精錬・標準化を経て金になるまで6〜12ヶ月かかり、その間、鉱山側はお金を受け取れない。ブロックチェーン上のタイムスタンプで、原材料が船に載っていること、保険がかかっていること、標準化の工程──ライフサイクル全体を早期段階から証明できれば、銀行はもっと早くファイナンスを提供できます。小さなユースケースに見えるかもしれませんが、我々は新しいトークンの価格を上下させて盛り上がることではなく、実際の問題を解くことに集中しています」


Jeffさんがもうひとつ。「コロナ禍の英国で、AstraZenecaワクチンの配送プロジェクトがありました。ワクチンは温度管理が極めてシビアで、閾値を超えたら無効になる。研究所から病院に届くまでの温度の完全性を、Hederaのパブリックな証明でNHS(国民保健サービス)に示した事例です。ボリュームは小さいが、インパクトの大きいユースケースでした」


会場からの質問2:「結局、Hederaのメッセージは何か」

2人目は、Crypto GarageのJustinさん。長くこの業界にいる立場から、あえて率直な問いが投げられました。「IoT、高スループット、DeFi、そして最近はRWA──時代ごとに違う説明を聞いてきて、正直まだ混乱しています。チェーンは無数にある中で、今日持ち帰るべきHederaのメッセージは何ですか?」


Shyamさんが正面から受けます。「創業者たちはHederaを公共財(public good)のネットワ

ークとして構想しました。エンタープライズグレードで、規制に適合し、企業が使うために最も有用であること。市場が変わっても、そのエートスは一貫して守られてきました。ESG、データ完全性、トレーサビリティから、いまのトークン化への集中まで──市場が進化し、技術が進化しても、我々が何者であるかは変わっていません。そしていま、ようやく市場が成熟し、このエンタープライズグレードのインフラを活用できる時が来た。未来はクリプトの価格変動の話ではなく、組織の便益──新しい収益、新しい市場、新しい顧客のためにインフラを使う話です」


Johnさんが、ウォール街の言葉で補強します。

「私はキャリアの全てを金融に捧げてきました。ウォール街で15年、野村にもいましたし、直前はFidelityのデジタルアセット事業で、『銀行や規制金融機関は将来どのブロックチェーンを使うのか』を見極めるのが仕事でした。Ethereum、Solana、Canton、Stellar──選択肢は山ほどある。ではどう差別化するか。考えてみてください。パーミッションレスチェーンでは、どこかでミームコインがローンチしただけで手数料が1,000倍に変動する。市場が暴落してみんなが担保を売ろうとした瞬間に、チェーンが遅くなり手数料が跳ね上がったら?マイクロペイメントで動くエージェント経済で、今日は100分の1セントだった手数料が明日5ドルになったら?使い物にならないんです」


「そして、銀行が月1万ドルのブロックチェーン手数料を払うとして──それは誰に払っているのか。米国か、日本か、それとも制裁対象国か。証明できないんです。だから我々は、バリデーターが既知で、信頼でき、取締役会に説明責任を負う上場企業である構造を選びました。説明責任が必要な未来のために、意図的にそう設計したんです」


そして、この夜いちばんの名言が飛び出します。

「最近、B2Bのホールセール旅行プラットフォームのCEOにこう言われました。『全部のチェーンを見た上で、君たちの上に作ることにした。持続可能なビジネスを作りたいから、固定手数料が欲しいんだ』と。ビジネス自体が十分ダイナミックなのに、ブロックチェーンが明日変わる心配までしたくない──まとめるなら、我々は電気のように退屈な存在になりたい。プラグを挿せば、動く。誰もが使えて、信頼できて、安全で、一番大事な機械や生命維持装置を安心して繋げられる存在に」

会場の笑いと、深い納得。Ayanoさんの「通訳が大変だと思います」の一言に、また会場が沸きました。


会場からの質問3:日本戦略と、スタートアップ支援

最後の質問は、ベトナムに開発拠点を持ちSolanaでAIエージェントのセキュリティに取り組む方から。「日本市場での戦略と、エコシステムパートナー、スタートアップ支援プログラムはありますか?」


Jeffさんが答えます。「私の管轄は日本からパキスタン、ニュージーランドまで。Hederaの技術はどの法域でも9割は共通で、残り1割──ラストマイルのローカライズを、まさにあなたのようなパートナーと作ります。ハッカソン、ビルダー支援、エコシステム内のVCとの投資機会もあります」


「そして日本は、Hederaにとってクリティカルな市場です。なぜなら日本は、この地域で信頼される資本市場だから。APACで起きるあらゆるユースケース──貿易金融、資本市場、トークン化、インフラ近代化、エージェントコマース──は、どこかで必ず日本に還流してくる。他国の金融市場インフラを作る時も、円建て投資への関心は非常に高い。日本を、アジア太平洋の発展を支える資本市場ハブとして位置づけ、Hedera/Hashgraphのインフラがその結節点になる。それが対外戦略です」


「国内では、円建てステーブルコイン発行体とのパートナーシップ、規制の近代化に合わせた国内取引所との連携、サステナビリティやAI、そして日本の中核経済領域──アニメやコンテンツといった知的財産の国内外流通。評議会メンバーには日立もいます(私自身、日立データシステムズに3年いました)ので、データセンター×AIのRWAも領域です。日本代表はまだ置いていませんが、ローカルパートナーと共に足場を広げています。我々はリーンなチームで、派手に資本をばら撒くことはしません。100年以上ここにいるつもりだからです。技術に自信があるからこそ、地に足のついた機会を、長期の関係で育てていきます」


最後にひと言 ── 5年後の未来へ

パネルの締めくくりに、hajimexから「未来について、一言ずつ」。


日髙さん「5年後がどうなっているかは、誰にも分かりません。この半年で世界がこれだけ変わったのですから。ただ、着実にやっていけば、『既存のレールとオンチェーン、どっちにする?』と選ぶ状態には、基本的になると思っています。私自身は、Everything Onchainという未来に向かって、今日から取り組んでいるつもりです。皆さんと一緒に取り組んでいけたら」


Johnさん「今日、私はHederaについてものすごく学びました(笑)。2017年から『機関投資家が来るぞ』というテーマはずっとあった。ここから本当に加速すると思います。ディスラプションリスクが高すぎて、じっとしていられないから。そしてAIの加速がブロックチェーンにぶつかります。AIのガバナンスはブロックチェーンで担保され、エージェントコマースはステーブルコインを使う。これからはAIのニュースが、そのままクリプトのニュースになる。──ファイナンシャルアドバイスでは全くありませんが(笑)、いまはベアマーケットでも、AIの次のステップでクリプト市場はまた盛り上がると、個人的には思っています」


Jeffさん「ブロックチェーンは transformative──変革の技術です。ミームコインと価格投機を超えて、変革的なユースケースにこそ適用されるべきもの。日本市場には計り知れないポテンシャルがある。この変革をリードする側に、皆さんがなれる。日本は経済的にも文化的にも、相互運用性のセンター・オブ・エクセレンスです。ぜひ一緒に、アジア太平洋で成長していきましょう」


Shyamさん「これを言わないとマーケティングチームに殺されるので(笑)──Hedera is the

trust layer for the digital economy. Hederaは、デジタル経済の信頼レイヤーです。今日ひと

つだけ持ち帰るなら、それを」


そして、ハワイのAyanoさんからも。「今年2月、金融庁も関わる金融カンファレンスの場で、知人が『Hederaの人と会えたよ』と連絡をくれたのが、すべての始まりでした。そこからThinzarさんと繋がり、今回のイベントをご紹介できたことが、本当に嬉しいです」──2ヶ月をかけてこの夜を実現させた立役者の言葉に、会場から大きな拍手が送られました。




【特別収録】時間の壁の向こう側 ── 事前準備セッションでJohnさんが語ったこと

(誌上完全版)

45分に拡大したパネルでも、語り尽くせなかった論点があります。

本番に先立つ7月4日、東京・ニューヨーク・ハワイをZoomでつないだ事前準備セッション

で、Johnさんは7つの想定質問すべてに、驚くほど具体的な答えを用意していました。当日ステージに乗り切らなかったその内容は、オンチェーン金融の現在地を知るうえであまりに貴重です。ここに、Johnさんの言葉として再構成し、誌上で完全収録します。


「オンチェーン化」の解像度 ── KYCをトークンに埋め込むという発想

デジタル・ツイン型とネイティブ発行型という2つのアプローチは当日も語られましたが、準備セッションではさらに一歩踏み込んだ説明がありました。

「資産がオンチェーン化されるとは、所有権や経済的権利の記録が、分散型台帳上で直接管理されるようになるということです。デジタル・ツインの場合、証券の保管は引き続き信託銀行が担い、ブロックチェーンは決済・移転のみに使う。トークンはウォレット間で移転でき、例えばステーブルコインの担保としてスマートコントラクトと連携できます。ネイティブ発行の場合は、オフチェーンの対応物が存在せず、所有権・経済的権利・報告のすべてがオンチェーン上に存在します」


「そしてHederaメインネットでは、KYCデータをトークン自体に直接組み込むことができます。規制を受ける金融機関が、地域の証券法を遵守しながら、ミント(発行)、凍結、バーン(償却)、ワイプといった操作を実行できる。規制当局からの要求に対応できるこの設計こそが、規制機関からの信頼を高めているのです」


「もうひとつ。送金コストが常にドル建てで固定され、ネットワークが混雑しても変動しないことは、EthereumやSolanaと異なる重要な特徴です。機関投資家にとって、これは決定的に重要です」──この論点は当日、「電気のように退屈な存在になりたい」という形で花開きましたが、原型はここにありました。


GENIUS法の裏にある、地政学

規制の話も、準備セッションではより踏み込んだ文脈が語られていました。

「米国では、トランプ政権とCFTC・SECがイノベーション推進のスタンスを取り、資本・人材・新規事業が米国で育つよう、明確で公正な規制の整備を急いでいます。ステーブルコインについては、『米国債の将来の買い手は誰か』という国家安全保障の観点が、GENIUS法の整備を加速させている。これは単なる金融規制ではなく、地政学的な文脈を含む動きです。各国が競うようにデジタルアセットの規制整備を進める背景には、資本と人材を自国に引きつけたいという経済的・安全保障的な動機があります」


金融機関が本当に求めているもの

「世界の銀行から共通して聞かれるのは、プライバシー、エンタープライズレベルの耐障害

性、量子耐性、そして既知のバリデーターです。多くの金融機関は、ノード運用とデータプライバシーを完全に管理するために、パブリックチェーンではなくプライベートチェーンを求めます。だからHashgraphは、プライベートネットワーク(HashSphere)とHederaパブリックメインネットのハイブリッド型を提供しているんです」

「トランザクション内のプライバシーにも複数の層があります。取引詳細は開示しつつ当事者は匿名にする『機密』モードと、当事者も取引内容もすべて非公開にする『完全非公開』モード。日本の金融機関向けに提供しているHashSphereは、ブリッジ不要であらゆるパブリックチェーンと相互接続でき、完全にEVM互換です」


日本の慎重さは、弱さではない

「日本は慎重かつ着実なアプローチを取る傾向がありますが、それは弱さではなく強みだと考えています。野村のようなグローバル金融機関がHederaのバリデーターとして参加していることは、日本市場における信頼性の証でもある。実証と安全性の確認を経たうえで持続可能なエコシステムを構築する──日本が目指している方向性は、長期的に見て非常に健全です」


5年後の市場 ── 株式は「権利の束」に分解される

そして最後の問い、「今後5年でデジタルアセット市場はどう変化するか」への答えは、この準備セッションの白眉でした。

「私たちはまず、法定通貨のトークン化(ステーブルコイン)とマネー・マーケット・ファン

ドから始めました。クロスボーダー決済や貸出市場の安定担保として、プロダクトマーケットフィットが非常に高いからです。次に来ているのが、金などのトークン化されたコモディティ。

現物デリバリーの困難さから先物市場でしか取引されていなかった資産が、トークン化によって可搬性・分割性・担保流動性を獲得し、新しい金融市場を生み出しています」


「今後5年間には、さらに多くのイノベーションが見込まれます。例えば──トークン化された株式が、価格権・配当権・議決権・貸株権といった個別の経済的権利に分割されること。知的財産権やロイヤリティのトークン化。イベントや活動へのアクセス権のトークン化。従来の金融には存在しなかった商品が、次々に登場します」


「さらにその先。ブロックチェーンでAIモデルや物理的AIのコンピューティングを検証し、トークノミクスでヒューマノイドロボットの学習に必要な高品質データの収集をインセンティブ化することも考えられます。すでに好例があります──予測市場です。ワールドカップに賭けるユーザーは、その裏側が暗号資産で動いていることに気づいていない。これが、今後多くの新市場で当たり前になっていくのです」

「ブロックチェーンは『カジノ』から、静かに背後で動くインフラへと進化しつつあります。

私たちはいま、かつてない規模の新しい金融商品とユースケースの拡大という時代に入ろうとしています」


──当日の「電気のように退屈な存在になりたい」という言葉と、この「静かに背後で動くインフラ」という言葉。舞台の上と準備の場、2つの言葉は、同じ一点を指していました。


記念撮影・ネットワーキング ──「せーの、Web3!」

パネル終了後は、恒例の記念撮影。ハワイのAyanoさんもスクリーン越しに収まって、「せーの、Web3!」



19:50からのネットワーキングタイムは、40分では到底足りない熱量でした。日髙さんの周りには「一緒にユースケースを」の呼びかけに応えるように名刺交換の列ができ、ニューヨークと香港から来た3人の周りでは、英語と日本語とカタコトが入り混じった輪がいくつも生まれ──「証券からデジタル資産へ」の新時代は、こういう場の熱から始まっていくのだと実感する光景でした。終了後は、登壇者と渋谷Web3大学の仲間との懇親会へ♪



まとめ ──「信頼」は、再設計できる

この夜、4人は違う場所から来て、同じ一点に立っていました。


日髙さんの「どうせ新しいものを作るなら、より良いものを作りたい」。Shyamさんの「信頼は機能ではなく、アーキテクチャそのものである」。Johnさんの「電気のように退屈な、誰もが安心して繋げられる存在に」。Jeffさんの「変革の技術は、変革的なユースケースにこそ」。


語彙は違っても、指していたのは同じことです。金融の"信頼"は、これまで人と紙と時間の積み重ねで担保されてきた。それをコードとガバナンスの構造で再設計する時代が、実証の段階を越えて、市場インフラの議論として始まっている──しかも、その当事者たちが口を揃えて「日本は重要な市場だ」と言い、「一緒にユースケースを作ろう」と手を差し出している。


渋谷Web3大学が4年間掲げ続けてきたのは、「技術のための技術」ではなく「人や社会のための技術」。潮目が変わったこの半年の先で、既存のレールとオンチェーンの「どっちにする?」を選ぶのは、金融機関だけではありません。この夜、名刺1枚を持って45階に集まった一人ひとりが、その選択の当事者です。

先に動く者がレールを敷く。他の全員は、そのレールの上を走る──さて、あなたはどちら側に立ちますか。


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※本レポート中の講演・発言内容は、各登壇者個人の見解であり、所属組織の公式見解を示すものではありません。また、特定の投資判断や行動を推奨するものではありません。

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