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【イベントレポート】-Season2- 第12回目リアルイベント「Web3 × 地域創生」── 世界遺産のまち・明日香村と、共創のまち・神石高原町。ローカルDAOの社会実装、最前線 ──

  • 執筆者の写真: 渋谷Web3大学
    渋谷Web3大学
  • 20 時間前
  • 読了時間: 13分


2026年8月19日(水)

渋谷Web3大学 -Season2- 第12回目リアルイベント(通算第43回目)

イーエージェンシーグループ × 明日香いえ継ぎ舎 × 天空未来塾



2026年7月末、奈良県の明日香村・橿原市・桜井市に広がる「飛鳥・藤原の宮都」が、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。世界が明日香に注目する、まさにその直後の夜。渋谷Web3大学は「Web3 × 地域創生」に正面から向き合いました。


舞台は2つの地域です。世界遺産登録に沸く一方で、空き家という構造的課題を抱える奈良県明日香村。そして、港区人材と地域人材がユニットを組む「共創DAO」の実装がすでに動き始めている、広島県神石高原町。


ビジョンと、実装事例と、本音のトークセッション。仕事終わりの渋谷スクランブルスクエア45階に、地域の当事者たちのリアルが持ち寄られた一夜を、レポートでお届けします。




オープニングスペシャル:世界最大級のハッカソンに飛び込んだコミュニティメンバー


クインさん(1BITLAB CEO/渋谷Web3大学 Createコースメンバー)



4年目に入った渋谷Web3大学では、POCレベルで止まっていたものが、どんどん実践の場に移り始めています。その象徴として本編の幕開けを飾ってくれたのが、ベトナム・ハノイ出身のクインさん。Solana最大級のグローバルハッカソンへの参戦記を、5分間に凝縮して届けてくれました。


クインさんが挑んでいるのは、AIエージェントが決済に使われる時代の「安全性」。AIエージェントとブロックチェーンの間に立ち、取引が正しく安全かをチェックするセキュリティレイヤー「Bento」です。名前の由来は「毎日使えるものにしたいから、お弁当」。ハッカソンではゲーム向けの高速化技術やセキュリティ関連の賞を受け、Solanaコミュニティの手厚いサポートも受けながら、ベトナムのエンジニアチームとともに製品を磨き続けていると語りました。


「Web3に興味があったら、すぐ連絡してください」


学びを学びで終わらせず、世界の最前線に飛び込んで実装する。渋谷Web3大学のコミュニティから生まれた挑戦の、これがリアルです。



キーノート:仲が良くなると、地域も会社も繁盛する


甲斐 真樹さん(株式会社イー・エージェンシーグループ 代表取締役)

「仲が良くなると、地域も会社も繁盛する。── 購買履歴から、関係履歴へ」


▼株式会社イー・エージェンシーグループ

 

▼ファンダムテック株式会社



イベントの幕開けは、甲斐さんのキーノートから。1995年、阪神大震災の被災地で、電話がつながらない中インターネットだけがつながっていた──それがインターネットとの出会いだったと言います。日本にまだサーチエンジンがなかった時代に「ジャパンサーチエンジン」を立ち上げ、1999年に株式会社イー・エージェンシーを設立。「おもてなしを科学する」を信条に、現在は国内グループ従業員248名・グループ売上約47億円、事業会社5社を展開するまでになりました。


Web3との接点は、長年手がけてきたCRMの仕事の中から生まれました。「誰が・いつ・何を・いくら買ったのか」を分析するダイレクトマーケティングを続けるうち、あることに気づきます。たくさん買ってくれる人と、その会社を好きでいてくれる人は、必ずしも同じではない。市場が成熟し多くの通販企業が伸び悩む中、伸び続けていた会社が大切にしていたのは、購入回数ではなく、相談・手紙・アンケート・紹介といったお客様との交流でした。


「買ったかではなく、時間・手間・熱量を使ってくれたか。それを蓄積したら、関係の深まりが見えてくる」


この「関係の質」を測るアプローチをホテルで試すと、顧客単価が上がり、お客様が離れにくくなる。会員限定のホテル全館貸切は即日完売し、会員のみなさんの目的は「泊まること」ではなく「会員同士で会うこと」だったといいます。


キーノート後半では、この考え方を企業から地域へ広げる構想が資料とともに示されました。2026年4月に設立したファンダムテック株式会社の「ファンダム」とは、囲い込みではなく関係の深まりのこと。応援や貢献の履歴が企業のデータベースに閉じるのではなく、本人のものとして企業や地域を越えてつながっていく──そのための基盤がWeb3であり、暗号資産や投機の話ではない、と資料は強調します。参加・応援・貢献・つながりを記録し「関係資本」として育てる基盤「ファンダムリンクス」、そして神石高原町×港区の共創DAO、明日香村での「観る観光から、関与する観光へ」という取り組みが紹介され、この夜すべての伏線が張られました。



明日香村より:家を継ぎ、暮らしを継ぎ、未来へつなぐ


中島 茂弥さん(一般社団法人明日香いえ継ぎ舎 代表理事)

「明日香村における古民家再生の取り組み」



続いて、明日香村生まれ・明日香村育ちの中島さんから、一般社団法人明日香いえ継ぎ舎の紹介です。奥明日香で古民家一棟貸宿「弥栄」を開業し、再生・運営の実務を経験してきた中島さん。地元出身者として、地域の文脈を理解しながら外から来る人との橋渡しを担いたい、という思いが資料には綴られています。


明日香村は1980年制定の「明日香法」により、村全域の歴史的景観が守られてきました。開発を抑制し、明日香ならではの景観・農地・遺跡・集落を守り抜いたことは大きな「光」。一方で、規制の強さゆえに売買・賃貸・改修の意思決定が進みにくく、不動産市場が活性化しにくいという「影」も生まれました。高いブランド力を持ちながら、規制の複雑さ・改修費の大きさ・所有者の心理的ハードル・地域との相性への配慮が重なり、「価値は高いのに流通しにくい」というねじれが最大の課題になっている──資料はそう指摘します。


物件が回りにくい理由は、お金だけではありません。ご先祖から受け継いだ土地建物を売る・貸すことへの抵抗感。どんな人が入るのか、ご近所に迷惑をかけないかという心配。だからこそ、地域を知る第三者が丁寧に間に入り、信頼をつくり、不安を解消する役割が必要になる。2026年4月に設立された明日香いえ継ぎ舎は、所有者・地域・新たな担い手のあいだに立ち、信頼形成・活用設計・伴走支援を一気通貫で担うことを目指しています。そして「資金的支援」と「労務的支援」を集め、持ち主や支援者に還元していくスキームとして、ブロックチェーン(Web3)がうまくハマるのではないか──その問いが、後半のトークセッションへとつながっていきます。



神石高原町より:地方を、未来を実装するフィールドへ


中野 達也さん(特定非営利活動法人天空未来塾 代表理事)

「地方は、本当に衰退するだけの場所なのか?」


▼NPO法人 天空未来塾




広島県神石高原町からは、天空未来塾の中野さんです。平成7年に神石高原町役場へ入庁して以来、行政実務と地域活性化活動の両輪で走り続け、2023年にNPO法人天空未来塾を設立しました。


資料の冒頭に掲げられたのは、「地方は、本当に衰退するだけの場所なのか?」という問い。人口減少・高齢化・担い手不足・空き家──課題を並べれば、たしかに厳しい。けれど中野さんたちの発想は、その課題を「実験テーマ」に変え、地域外の人も参加できる新しい地域モデルをつくること。地方=課題のある場所ではなく、地方=社会実装を試せる場所、という転換です。


モータースポーツを核に人を呼ぶ『車輪村』は「地域外から来る理由」を、世代や地域を越えてつながる『天空よさこい』は「参加する理由」を、そして天空未来塾は「次の挑戦」を生み出す。イベントはゴールではなく、人と地域がつながる入口──地域活性化の本質は「関わりたい」と思う人を増やすことだと資料は語ります。Web3は目的ではなく共創の手段。Web3を「地方に持ってくる」のではなく、Web3で「地方と都市の境界をなくす」。神石高原町のリアルなフィールドと、天空未来塾のコーディネート力と、渋谷Web3大学のテクノロジーと人材を掛け合わせる地域共創プロジェクトへの招待状で、プレゼンは締めくくられました。



トークセッション:明日香村のファンダム構想 × 神石高原町の共創DAO



この夜の本丸、45分のトークセッション。甲斐さん・中島さん・中野さんに、共創DAOシステムをSolanaで開発したクインさん、そしてプロジェクトマネージャーを務めるファンダムテックの鈴木さんが加わり、モデレーターは学長hajimexが務めました。会場のみなさんもMentimeterで対話に参加する、渋谷Web3大学らしい双方向の時間です。


「あなたにとって、いまの『地域』との関係を一言で」

最初の設問には「つながり」「職場」「ふるさと」「生まれ育った大切な場所」から「関わりしろが見つけにくい」「過疎化が寂しい」まで、37名から実にさまざまな言葉が集まりました。都市に住みながら、地域が気になっている。そんな会場の温度が最初に可視化されます。


出会うべくして出会った5人

対話は「なぜこの5人が渋谷に集まったのか」から始まりました。甲斐さんと中島さんの出会いは、明日香村の宿。歴史好きの甲斐さんが「統一国家としての日本の始まりの場所」を訪ねて泊まったのが、偶然にも中島さんのゲストハウスでした。一棟貸しなので、夜通し語り合うことになり──


「律令が始まったこの場所で、これからはブロックチェーンという新しいシステムで新しい国づくりをしませんか、なんて話を、酔っ払いながらしていました」(甲斐さん)


一方の中野さんは、コロナ禍の移住マッチングイベントで河本さんと出会ったのがきっかけで、東京の企業とのつながりが広がり、今年度から始まった港区との共創DAOで甲斐さんと知り合いました。当時コンビニが一軒もなかった神石高原町に、今年11月、ついにセブンイレブンの地方共創拠点店舗ができるというエピソードには、6〜7年の積み重ねが花開きつつある実感がにじみます。


共創DAO、実装の裏側

鈴木さんが一言で定義するこのシステムは、「都会の関係人口の方々と、地方の地域住民の方々をつなげるアプリ」。ウォレットは裏側に隠れていて、LINEを使っている人なら誰でも使える設計です。


「Web3という言葉はなるべく使わず、トークンもアプリの中では『バッジ』と呼ぶ。そういう工夫をしています」(鈴木さん)


開発を担ったクインさんは、Solanaを選んだ理由を「小さな貢献も一件ずつ記録できて、ガス代が安く、速度も速い。チームのサポートも熱心」と語り、改ざんできないデータを扱うからこそのセキュリティ面の苦労も明かしました。そして甲斐さんは、あえてWeb3と掛け合わせることに踏み切った理由をこう語ります。「単につなぐだけなら、今の技術でもできる。でもこれからの可能性はWeb3の方がパワーを持っている。ここで踏み切ることが、時代を変えていくきっかけになると思った」。9月頭からの本格稼働が楽しみです。


「あなたが地域に差し出せるものは?」


2問目の設問では、「時間・汗(現地での手伝い)」7票、「スキル・専門性」6票、「発信力・つながり」6票に対して、最多は「まだ分からない、今夜見つけたい」の9票。お金・出資は1票でした。お金以外に差し出せるものがこれだけある──この分布そのものが、後半のテーマへの絶好の前フリになりました。


3つの壁と、それでも動く理由

ここからは、きれいごとなしの時間です。世界遺産登録でブランド力最高潮の明日香村で、なぜ空き家は動かないのか。中島さんは「人は住んでいないけれど表に出てこない、潜在的な空き家」の存在を挙げ、いえ継ぎ舎が担える役割をこう語りました。


「僕らは、次に入る人を選ぶことができる。一番目に並んだからその人、ではなく、三番目の人を選ぶかもしれない。ブロックチェーンに期待したいのは、僕らが選別するときの地域愛・郷土愛を測る、一つの物差しになることです」(中島さん)


甲斐さんがこれをWeb3視点で翻訳します。地域づくりは、単に人口が増えればいいわけではない。普段から村に通い、交流し、貢献している人の履歴が改ざん不可能な形で残っていれば、「この人なら安心だ」という証明になる──。港区×神石高原町の共創DAOでは実際に、都市部の人材の貢献に対して自治体や事業者が第三者証明としてソウルバウンドトークン(譲渡できないNFT)を発行する仕組みが動き始めています。中野さんも、移住者の3〜4割が地域と揉めてしまうという現場のリアルを明かしつつ、「公平・平等が原則の役所ではできない選別を、民間の立場で担っている中島さんの活動は素晴らしい」と共感を寄せました。


制度の壁について問われた中野さんは、役所に入る前は勉強とは無縁だったという意外な過去から、「日本一の公務員になる」とスイッチが入り、25歳から町のリーダーとして走り続けてきた歩みを語りました。高齢化率が5割を超える町では、予算はどうしても高齢者施策に寄り、若者に届きにくい。だから役員10人・全員無報酬のNPOをつくり、車輪村の収益を子どもたちの夢へのチャレンジや子育て支援に充てる。


「一人では何もできない。成功の秘訣は、仲間です」(中野さん)

「田舎でも、アイデアと工夫とチャレンジで、何でもできる。人間は変われる」(中野さん)


会場からの質問も飛び交いました。明日香村をリトリートで訪れているという参加者の熱のこもった感想、教育や医療への質問には、医大が隣接し保育園から高校まで揃う明日香村の暮らしやすさ、そして神石高原町のインターナショナルスクールや、町出身の経営者の寄付で保育所や助産院が生まれているというエピソードまで。「大概のことはできます。海がないので海水浴だけはできませんけど」という中野さんの一言に、会場が和みました。



「明日香村で農業をしたい」「地域の方のお手伝い・ボランティアをしたい」「文化体験ツアーをしたい」──Mentimeterに寄せられた「やってみたいこと」が、その場で登壇者との対話になっていく。関係人口が目の前で生まれていくような時間でした。


5人からの、締めの一言

クロージングでは、登壇者一人ひとりが今夜持ち帰ってほしいことを語りました。鈴木さんは、どこかの会社のデータベースに閉じず、誰からも改ざんされていないと分かるWeb3のオープンさが、熱量ある地域の活動を深め、広げていく力になると。クインさんは、小さな貢献も一件ずつ大切に記録するプロダクトを目指すと。中野さんは、オンラインという「どこでもドア」の先で、本当に信頼できる人と繋がるための可視化に期待したいと。


中島さんは、宿にも飾っているという大好きな言葉を紹介してくれました。


「『和を以て貴しと為す』。1400年前にこの考えがあったことを、僕は飛鳥人として誇りに思っています。そして『不易流行』。変わらないものは、新しいものを取り入れるからこそ守られる。その柔軟さで、明日香の大事なものを守っていきたい」(中島さん)


そして甲斐さんが、この夜をこう締めくくりました。


「Web3はいよいよ社会に普及していきます。そのとき、お金より大事なものが、つながりになってくる。キャリアとは何かと聞かれたら、僕は『仲間だ』と答えています。自分の力だけでは限界がある。でも仲間がいたら、夢は叶う。それを実現する経済がWeb3経済だと思っていて、僕は未来が楽しみです」(甲斐さん)



実証実験というレベルだったものが、本当に「実践」に至っている。地域の課題は、資金の壁も、人の壁も、制度の壁も、きれいごとでは越えられません。それでも、宿の一夜の語らいから、コロナ禍のオンライン面談から、コミュニティの出会いから、人と人の関係が積み重なり、仕組みになり、地域が動き出している。


技術のための技術ではなく、人や社会のための技術。43回この問いを重ねてきた渋谷Web3大学だからこそ聞けた、地域のリアルな一夜でした。



【Information】

渋谷Web3大学のStudyコースでは、無料会員登録でイベントのアーカイブ動画をご視聴いただけます。LINE登録はこちらから。すでに300名以上の方にご利用いただいています。


【次回のイベント】

次回、-Season2- 第13回目リアルイベントは2026年9月16日(水)18時から、同じく渋谷スクランブルスクエア45階 WeWorkにて開催。テーマはメルコインとのコラボレーションです。渋谷Web3大学Createコースメンバーのご縁から実現した、対話型のイベントになります。

さらに10月20日(火)には、XRPLコミュニティや日本電脳横丁、Layer1ブロックチェーンのInjectiveなどを迎えるイベントも準備中。10月は水曜日ではなく火曜日開催ですので、お気をつけください。





ご参加いただいたみなさま、登壇者の甲斐さん、中島さん、中野さん、クインさん、鈴木さん、本当にありがとうございました✨

イベント終了後は、登壇者と渋谷Web3大学の仲間と懇親会へ♪

今回も本編に負けないくらいの盛り上がりでした。




渋谷Web3大学



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