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【イベントレポート】-Season2- 第13回目リアルイベント「Web3 × マスアダプション」── 暗号資産のその先へ。あらゆる"価値がめぐる"未来を語る夜 ──

執筆者の写真: 渋谷Web3大学
渋谷Web3大学
10 分前
読了時間: 9分

2026年9月16日(水)

渋谷Web3大学 -Season2- 第13回目リアルイベント(通算第44回目)

【メルコイン・スペシャル】

「Web3 × マスアダプション」

── 暗号資産のその先へ。あらゆる"価値がめぐる"未来を語る夜 ──




お金も、ポイントも、誰かが手放したモノも──あらゆる価値を循環させて、あらゆる人の可能性を広げていく。その真ん中にお金を置きながら、ブロックチェーンで個人をエンパワーメントしていく。その思想を、約2,400万人が使う国民的アプリの中で実装し続けている人がいます。


通算第44回目となる今回は、メルコイン・スペシャル。株式会社メルコイン 代表取締役 CEOであり、渋谷Web3大学の特別アドバイザーでもある中村奎太さんをお迎えし、提供開始約3年で400万口座を突破した「メルカリ」の暗号資産取引サービスの裏側から、暗号資産が「金融商品」へと変わっていく業界の大転換、そしてその先の未来までを、たっぷり語っていただきました。


この日の東京は、秋雨前線が本州の南岸に居座り、夜には警報級の大雨も心配された、あいにくの空模様。それでも傘を差して渋谷スクランブルスクエアの45階まで集まってくれたみなさんと、いつもより席の距離も心の距離も近い、膝と膝を突き合わせるような濃密な時間になりました。


幕開けは、渋谷Web3大学Createコースメンバーのプレゼンから。コミュニティから生まれる実践と、日本のマスアダプションの最前線が交差した夜を、レポートでお届けします。




Createコースより:公平さと透明性を、仕組みで支える


山中 翔太さん(Delight株式会社 代表取締役/渋谷Web3大学 Createコース)



本編の幕開けは、Createコースメンバーの山中さんのプレゼンです。20代は宮古島や海外で暮らし、好きなことに挑戦する日々を過ごした後、IT企業を経てコロナ禍をきっかけに独立。周囲の声に後押しされ、2024年にDelight株式会社を設立しました。SES・システム開発、DX・AI活用を通じて企業の課題解決に取り組んでいます。


資料で紹介された経営の軸は、「一人ひとりの貢献が、正当に報われること」。売上と報酬の関係が見える給与体系を採用し、フェアであること・透明であることを大切にしているといいます。だからこそ、人の恣意性に左右されにくい仕組みをつくれるブロックチェーンに、可能性を感じている──Web3への入口も、この思想の延長線上にありました。



その実践として温めているのが、ブロックチェーンやステーブルコインを使って希望者に給与を支払う構想。調べてみると、同じ業界ですでに実施を発表した会社があり「かなり先を越された」と笑いつつも、こう続けました。


「誰かが恣意的に得をする・しないを変えられる仕組みが、ブロックチェーンにはある。Createコースで実証実験を進めながら、事業に組み込んでいきたい」

学びを実装へ。コミュニティから事業が動き出す、渋谷Web3大学らしい幕開けです。



メルコイン・スペシャル:「主語は常にメルカリ」── 暗号資産を、ふつうの人のものに


中村 奎太さん(株式会社メルコイン 代表取締役 CEO)



続いて、この夜の主役・中村さんの登場です。新卒でメルカリに入社し、ブロックチェーンエンジニアからキャリアをスタート。メルペイの立ち上げを経て、2023年からメルコインの代表を務め、現在はメルカリグループのフィンテック領域全体のCPO(最高プロダクト責任者)も兼務しています。

そしてこの夏、渋谷Web3大学の特別アドバイザーに就任。ブロックチェーン=P2Pがもたらす新しい人間のコミュニケーションの世界という未来図で、即座に共鳴し合えた同志です(就任のお知らせはこちら)。「Web3をテーマに話すのは久しぶりで嬉しい」と、気さくに語り始めてくれました。



メルカリは月間利用者数が約2,400万人、年間GMVは1.1兆円を超える、日本を代表するマーケットプレイス。その中でメルコインは「売上金で暗号資産が買え、暗号資産がまた使える」という、キャッシュインとキャッシュアウトの両方をつなぐユニークな存在です。そして面白いのが、メルコインという社名をあえて前に出していないこと。


「お客様には『メルカリでビットコインが買えるサービス』と伝えています。主語は常に、メルカリなんです」

本人確認済みなら最短30秒で利用開始、すべて円表記で1円から。小数点が並ぶ画面は一般の人には怖い、だから円表示に統一する──徹底して「初めての人」に寄り添った設計です。参入当時約660万だった日本の暗号資産口座数は、いまや1,400万を突破。その中でメルカリの暗号資産取引サービスは、提供開始約3年で400万口座を超えました。しかも利用者の85%は暗号資産の取引経験がなかった人たちで、年代は18歳から51歳以上までほぼ均等。


「なんとなく怖い」「損しそう」「購入資金がない」という三大ハードルに対し、売上金や無料でもらえるポイントという"損しないお金"から始められる入口をつくり、さらにビットコイン決済で「使えるもの」であることも体感してもらう。月に約30万人がビットコイン決済を使っており、「多分、世界で一番ビットコイン決済が使われている場所」だと明かすと、会場からは驚きの声が上がりました。


業界も、大きな転換点にあります。改正金融商品取引法が成立し、暗号資産は「金融商品」として扱われていく見通しに。「ブロックチェーン好きには思うこともあるけれど、より多くの人が安心して使える市場に変わるのはポジティブ」と中村さんは捉えます。そしてメルコインは「誰でも持てる」から「もっと持ちたくなる体験」へ、第二フェーズに踏み出しました。Coincheckとの事業提携で取扱銘柄を一気に拡充し、写真フォルダに写真を集めるように、自分の好きなトークンをコレクションできるUIへ刷新。前日にリリースされたばかりの、ポイントが付与されるたび自動でビットコイン等を購入する「ポイント運用」や、当日公開されたばかりの「暗号資産診断」まで、最新の仕掛けを惜しみなく紹介してくれました。



パネルトーク:UIの裏側から、金融の未来まで



後半は、中村さんと山中さんを囲んでのパネルトーク。モデレーターは学長hajimexが務め、Mentimeterで会場の声を拾いながら進みます。



「一番心に残った言葉は?」



キーノート直後の設問には、「400万口座!すごい!」「いつでも主語をメルカリにする」「未経験者が購入を躊躇うハードルを悉く下げてる」「ポイ活がビットコインになるの嬉しい」「実は国内の暗号資産の普及を下支えしてる!」といった言葉が並びました。


山中さんがまず切り込んだのは、UI/UXへのこだわり。中村さんがベンチマークとして挙げたのは、ジャック・ドーシー率いるSquare(Block)の送金アプリ「Cash App」でした。踏み入れるならここから、と言わんばかりに削ぎ落とされた鋭さ。そしてメルカリグループでは、毎週お客様を招いてUXリサーチを重ね、どこで手が止まるか、どこで嫌な顔をするかまで見続けているといいます。「かなり引き算の美学ですね」と山中さん。事業を広げず、一つのプロダクトを磨き続けるメルカリのカルチャーの話にも及びました。



「メルカリアプリで暗号資産、買ったことありますか?」



2問目の結果は、「買ったことがある」6票、「見たことはある」2票に対して、「知らなかった」4票、「メルカリ自体使っていない」3票。Web3コミュニティのイベントとしては意外な分布に、中村さんは「伸びしろですね」「認知がまだ行き届いていないことがちゃんと分かる。こういうのはいいサプライズです」と前向きに受け止めます。hajimexは「渋谷Web3大学はイノベーターの集まりだったのが、アーリーアダプター、もしかしたらキャズムを超えた層まで来ているのを感じる」と、会場の変化そのものに手応えを語りました。



オープンQ&A:あらゆる"価値がめぐる"とは


会場からは7つの質問が寄せられ、話題は一気に深まります。グローバルでは、決済事業者がステーブルコイン領域を取り込み、取引所がカードを出す──「貯める・持つ・使う」が一気通貫でつながるデジタルバンク的な潮流が主流になりつつあること。越境取引で日本のIPグッズやトレーディングカードが猛烈に買われている今、現物を動かさずトークンだけが世界を流通し、欲しい人の手元に届くときに初めて配送されるRWA(現実資産のトークン化)の構想を、中村さん自身が手がけていること。


「あらゆる価値が巡る経済の中で、まだ流通していない価値は?」という壮大な問いには、ミッション策定の原点から答えてくれました。

「ブロックチェーンは、もっと個人のエンパワーメントができるテクノロジーになってほしい。大きい人ばかりがフィーチャーされて格差が生まれる構造を、変えられると信じています」

そして、新卒2年半で取締役会に立ち「本当にやる覚悟があるのか」と問われた日のこと。創業者の山田進太郎さんが「GoogleがYouTubeをやった時と同じだと思ってやろう」と背中を押してくれた逸話には、会場がぐっと引き込まれました。社内ビジネスコンテストで優勝してもすぐにはやらせてもらえず、半年間「やろうぜ」と言い続けた──メルコインは、一人の熱意から始まった事業でもあったのです。



「5年後、Web3はどんな"日常"になっている?」


最後の設問には「知らない所で生活に溶け込んでいる」「web3を意識しない日常」「現金なくなる」、さらには「星間決済のプロトコル」なんて回答も。山中さんは「Web3という言葉自体が薄れて、生活の基盤になっていく」と語り、中村さんはAIの進化で予測が難しくなったと前置きしつつ、お金の概念はオンチェーンに溶けていくだろうと展望します。その上で、こう締めくくりました。



「金融が自動で進んでいく時代だからこそ、非金融的なもの、カルチャーや、その場所でしか体験できないことにこだわりたい。時空や場所を超えられる世界が、5年後には来るんじゃないでしょうか」

大雨の夜に、それでも傘を差して渋谷まで来てくれた人たちと囲んだ、いつもより少人数の、その分だけ濃い時間。「メルカリを使ったことがない」という参加者が、最前列のかぶりつきで聞いている。4年前にイノベーターたちが集まって始まったこの場所に、いま、まったく違う層の人たちが辿り着いている──マスアダプションは遠いスローガンではなく、この会場の中でも静かに起きていました。


技術のための技術ではなく、人や社会のための技術。渋谷Web3大学が4年間問い続けてきたこの言葉と、中村さんが語った「個人のエンパワーメント」という未来は、同じ方向を指しています。思想を共にする特別アドバイザーと、膝と膝を突き合わせて語り合えた44回目は、ある意味いちばん贅沢な回でもありました。



【Information】

渋谷Web3大学のStudyコースでは、無料会員登録でイベントのアーカイブ動画をご視聴いただけます。LINE登録はこちらから。すでに300名以上の方にご利用いただいています。



【次回のイベント】

次回、-Season2- 第14回目リアルイベントは2026年10月20日(火)18時から、同じく渋谷スクランブルスクエア45階 WeWorkにて開催。「Web3の世界を知ろう」から4年──1周回って、いまあらためて「Web3ってなんなん?」を問い直す回です。

10月は水曜日ではなく火曜日開催ですので、お気をつけください。




そして11月25日からは、渋谷Web3大学はいよいよSeason3に突入します。テーマは「未来編集室」。こちらもどうぞお楽しみに。




大雨のなか、足元の悪いなかご参加いただいたみなさま、登壇者の中村さん、山中さん、本当にありがとうございました✨


イベント終了後は、毎回恒例の懇親会へ♪

登壇者を囲んで、本編に輪をかけてさらに盛り上がる夜になりました。ここでしか聞けない話は、ぜひ次回、会場で。




渋谷Web3大学



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