【イベントレポート】-Season2- 第6回目リアルイベント「Web3 × 地方自治体」─ 5年後の"当たり前"を、飯塚市から始める ─
- 渋谷Web3大学

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更新日:5 分前

2026年2月17日火曜日開催
渋谷Web3大学 シーズン2第6目回リアルイベント(通算第37回目)
「Web3 × 地方自治体」─ 5年後の"当たり前"を、飯塚市から始める ─

設立から3年、通算37回目を迎えた今回のイベントは、渋谷Web3大学の節目を祝う特別な夜となりました。
テーマは「Web3 × 地方自治体」。
現在進行中の福岡県飯塚市での実証実験を中心に、デジタル大臣政務官、自治体担当者、防災のエキスパート、ブロックチェーン証明書の世界的プレイヤー、そして大企業のイノベーション推進室——それぞれの"現場"を持つ実践者たちが渋谷に集結しました。
「技術のためのWeb3」ではなく、「社会課題を解決するためのWeb3」。
地方から日本を変える。その覚悟と実行力が、3周年という節目にふさわしい熱気とともに会場を包みました。

基調講演:Web3と地方自治体の未来
川崎ひでとさん
衆議院議員 デジタル大臣政務官
もと自民党web3プロジェクトチーム 事務局長

今回で最多4回目の登壇、我々が勝手に同志だと思い慕っている最新テクノロジーの可能性についての理解者である川崎さんから、政府の方針と現場への期待が語られました。
NTTドコモ時代にdカード立ち上げを経験し、2021年の初当選以来、自民党Web3プロジェクトチームの事務局長として、DAO法人格問題、暗号資産税制改正、金商法への移行——テクノロジーの登場に法整備が追いつかない状況を、一つずつ打ち崩してきた実績がある川崎さん。
しかし、この夜最も力を込めたメッセージは、税制でも法律でもなく、「社会課題の解決」だった。
「Web3というテクノロジーを目いっぱい推したいわけではない。課題を解決するための方法としてWeb3が最適なのであれば、それを目いっぱい推させてほしい」
人口減少、税収の激減、水道すら維持できなくなる集落——。地方が抱える危機は、もはや待ったなし。山古志村のNFTによる「関係人口」の創出を着眼例として挙げながら、「地方を最高の最先端の実験場として、皆さんに暴れてほしい」と参加者の背中を押しました。
さらに、デジタル大臣政務官としての実感も率直に共有。「デジタル赤字に絶望する」——クラウドもNetflixもクレジットカードも、日本のお金が海外に流出し続ける現実。だからこそJPYCのような国産ステーブルコインや国産ブロックチェーンの価値がある。テクノロジーの力で日本の経済圏を守り、育てていく。その決意が、会場に伝わりました。

地方自治体の挑戦:飯塚市のブロックチェーン推進
大久保 芳彦さん
飯塚市役所 産学振興課課長補佐
令和7年度飯塚市先端情報技術実証実験サポート事業 担当者

議会真っ只中という多忙なスケジュールの中、Zoom中継で登壇いただいた大久保さん。飯塚市は2021年に全国でも先進的な「ブロックチェーン推進宣言」を行い、産学官連携で新産業創出に取り組んでいます。
福岡県のほぼ中央に位置し、九州工業大学・近畿大学産業理工学部など理工系大学が集積する飯塚市。その強みを活かし、令和5年度からは「先端情報技術実証実験サポート事業」として、企業のプロダクト開発をフィールド提供・補助金・モニター募集・広報支援の面から後方支援しています。
注目すべきは、令和3年・4年と2度にわたりブロックチェーンを活用した公的証明書(住民票・所得証明書)の電子交付の社会実験を実施し、トラストサービスの有効性を実証した実績。そして今年度は、渋谷Web3大学と連携した「防災×Web3」の実証実験——市民の安全を守るDID/VCの社会実装に挑んでいます。
「地方だからこそできるビジネスチャンスがある。挑戦しなかったら地方は終わる」——川崎さんの言葉に呼応するように、飯塚市は自ら最先端の実験場であり続けようとしています。
実証実験の詳細はこちらをご覧ください。

防災×Web3:平時と有事をつなぐ新しい備え
髙木 敏行さん
株式会社かんがえる防災 代表取締役社長
飯塚市DID/VC防災実証実験:防災実証実験監修・かんがえる防災クイズ監修
▼株式会社かんがえる防災

熊本地震で被災地に入り、「知識があれば救えた命」の多さに衝撃を受け、消防士からの起業を決意した髙木さん。福岡を拠点に12以上の市町村と連携し、「知識から備蓄する」をモットーに防災教育とBCP支援を展開しています。
この夜、最も会場の空気を変えたのは、能登半島地震のデータ。発災から12時間での職員参集率はわずか45%、3日間でも約40%。行政職員だけでは、災害対応に圧倒的にマンパワーが足りない——この現実が、今回の実証実験の原点です。
「避難所の受付は紙で、個人情報はだだ漏れ。職員が来ないと運営が始まらない。この構造を変えたい」
答えのない「防災クイズ」を日常的に配信し、住民の判断力を養う。そして、その参加証明をDID/VCで発行する——「平時」と「有事」をシームレスにつなぐ仕組みをデジタルで構築する。さらに、大阪万博でも採択された周遊アプリ「Cyber Trophy」を活用し、地域防災と産学官連携を結びつける取り組みも紹介され、防災を「コストからの脱却」ではなく「価値の創出」へ転換する新しいビジョンが示されました。

デジタル証明書の基盤:検証可能な資格情報(VC)の普及
石川 真理さん
Turing Japan株式会社 代表取締役社長
飯塚市DID/VC防災実証実験:ブロックチェーン証明書技術・DID/VCシステム構築
▼Turing Japan

台湾発祥、現在はアメリカ・オランダ・日本・台湾の4拠点を中心に15カ国でサービスを展開するTuring Japan。3周年のお祝いに、石切神社でご奉納された縁起物の日本酒を持参してくれた石川さんの登壇は、技術の話でありながら「人と信頼」の物語でもありました。
身分証や卒業証書を改ざん不可能な形でデジタル化する「ベリファイアブル・クレデンシャル(VC)」。その最大の特徴は3つ——①改ざんできない証明書、②即時検証、③必要な情報だけを共有できる仕組み。例えば、コンビニでお酒を買う時に「20歳以上である」という情報だけを提示し、生年月日や住所を見せずに済む世界を実現します。
台湾ではほぼ全ての政府機関で導入され、WHOではボランティア証明書のデジタル化に採用。日本でも渋谷区スタートアップサポート、大阪産業局、数学検定の合格証明書など導入が着実に広がっています。
「日本で広めるからには国産ブロックチェーンを使いたい」——その信念のもと、東芝製の純国産ブロックチェーンを採用。この日は東芝の斎藤さんも会場に駆けつけ、「社会インフラの事業にこの国産ブロックチェーンを提供していきたい」とメッセージを届けました。国産技術で信頼のインフラを築く。石川さんが目指す「信用性基盤」は、日本から世界へ発信されようとしています。

現場レポート:飯塚市での実証実験の結果と課題
後藤 裕平さん
JR東海 イノベーション推進室
渋谷Web3大学Createコースメンバー
飯塚市DID/VC防災実証実験 プロジェクトメンバー

JR東海のイノベーション推進室——「新しいこと、チャレンジ部隊」に所属する後藤さん。鉄道会社でありながら自動運転をはじめとするモビリティの未来にも取り組み、大学でPhDプログラムにも挑戦する。その姿勢自体が、渋谷Web3大学Createコースの「革命家」の体現でした。
後藤さんが報告したのは、飯塚市での避難所受付ロールプレイングの結果。従来の手書き受付に要した150秒が、デジタル認証ではわずか13秒——約10分の1への驚異的な効率化が実証されました。
しかし、現場は数字だけでは語れない。
「DID/VCどこに保存したかな…」「メールがどこにあるか探す時間が24秒」「職場のメールで登録してしまい、当日提示できない」——技術のポテンシャルは十分感じながらも、「人に優しいデザイン」なくして社会実装は進まないという知見が、実証実験だからこそ得られた最大の収穫でした。
「新しい技術が生まれて、それをどう世の中に役立てていくか。そのインストールをやっている」——企業のパーパスにも通じるこの言葉に、テクノロジーと社会をつなぐ実践者の矜持が感じられました。

パネルディスカッション
登壇者全員によるパネルディスカッションでは、3つのテーマで白熱した議論が交わされました。
テーマ1:やってみたからこそ見えた壁
後藤さん:「DID/VCなんだそれ? から始まった。でもやってみたら技術の良さもわかった。ただ、最大の壁は"デザイン"。詳しい人の話に入っていくと薄れがちだが、現場目線でどう使うかが一番大切」
髙木さん:「防災は優先度が低くなりがち。技術は素晴らしいが、日常的に使える"フェーズフリー"な設計が鍵。非常時だけのツールにしてはいけない」
石川さん:「操作画面のローカライズと、テクノロジーだけでは作れない"プロジェクト全体のデザイン"。一社では完成しない。共創が不可欠」
川崎さん:「最も分厚い壁は、民間と政府の間にある。民間がこれだけいいプロダクトを作っているのに、政府が似たようなサービスを作ってしまう。役所がモノを作る必要はない。民間に任せるべき。人口戦略本部で、その壁を取っ払う作業をこれから始める」
テーマ2:5年後の"当たり前"とは何か
川崎さん:「AIエージェントが当たり前になり、そこに人権を与えるべきかという議論すら始まるだろう。政府は5年後、10年後を見据えて線を引く仕事。そろそろ車が空を飛んでいてほしい(笑)」
石川さん:「"自分の情報は自分で所有する"が当たり前になる。データ管理のリスクと信用の基盤に、もっと皆の意識が向いていく」
髙木さん:「行政と企業の防災連携が大きく変わる。被災地から転出した人の住民税をふるさとに届けられる仕組みが当たり前になってほしい」
後藤さん:「5年前、AIがここまで来ると誰も予想しなかった。DID/VCも、それ単独ではなく、裏側の基盤として溶け込んでいるのが"当たり前"になるはず」
テーマ3:この会場にいる皆さんへメッセージ
後藤さん:「自分たちのインフラに自分たちで関心を持つこと。企業も自治体もユーザーも。JR東海と一緒にこの国を良くしたいという方、ぜひ声をかけてほしい」
髙木さん:「人の命がないと復旧は無理。首都直下地震は"起こるかも、明日かも"という意識を持ってほしい。新しい技術も含めて、まず学ぶきっかけにしてください」
石川さん:「デジタルの信用性基盤を作りたい。それは一社だけではできない。皆さんとの情報交換の中で初めてわかることがたくさんある。本当の意味での"共創"を進めていきたい」

そして最後、川崎さんのメッセージが会場の心をつかみました。
「選挙の地元では、デジタルの話は封印させられがちなんです。"デジタルの話はええから米の話してくれ"と言われる。でも、テクノロジーの力で農業の課題も解決できるんだ。地方でそれが伝わらない限り、日本は変わらない」
「だからこそ、皆さんにやってほしいことがある。デジタルの世界で挑戦する政治家を"かっこいい"と生やし立ててほしい。そのブランディングが、日本の官民連携を加速させる。皆さんが一役買ってくれれば、日本は絶対に良くなる」

渋谷Web3大学は、3周年という節目を迎え、これからも「学びを通じて現実を変えるリーダー」が集う場所であり続けます。
革命は遠くの誰かではない。あなたの中に始まる。

イベント終了後は渋谷Web3大学を応援してくださっている方々と
アフターパーティ♪♪
設立当初からお世話になっている方やイベントに登壇してくださった方々等✨
いつも、応援してくださりありがとうございます⭐️

【Information】
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次回は渋谷Web3大学 -season2-
第7回目リアルイベント(通算第38回目)
2026年3月18日水曜日
「生成AI/ブロックチェーン時代の高等教育革命」(仮)
詳細は近日公開予定です。お楽しみに!
渋谷Web3大学











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